「ヒップ○cm」で、お尻の形まで分かるのか
ショーツのサイズ表ではヒップ寸法が重要な基準になります。 ただし、ヒップ寸法はお尻まわりを一周した長さです。 同じ周囲径でも、横幅、前後の厚み、後ろへの突出、丸みの位置まで同じとは限りません。
ヒップサイズと立体形状
ヒップサイズが同じでも、
お尻の形は同じではない。
「ヒップ90cm」は、一周の長さ。
立体的な形までは表していません。
身体に密着するショーツでは、 一周の長さと、実際に包む立体形状 を分けて考える必要があります。
このページで分かること
- ヒップサイズは、お尻まわりを一周した長さで、横幅や前後の厚みまでは表していません。
- 同じヒップサイズでも、お尻の後ろへの丸みや下側の形は人によって違います。
- 3D人体計測では、周囲径だけでなくヒップの前後方向の深さなども体型分類に使われます。
- トラタニでは、ヒップ寸法だけでなく太もも付け根の寸法もサイズ選びの基準にしています。
ヒップサイズは、お尻を一周した長さ
同じ数字でも、その長さが前後・左右にどう分かれているかは分かりません。
横方向に広い形
ヒップ周囲径の多くが左右方向の幅として現れる体型があります。 一周の長さが同じでも、後ろへの張り出しは比較的小さい場合があります。
後ろへの丸みが大きい形
横幅が同程度でも、後ろへの突出が大きければ、ショーツの後ろ身頃が沿う立体面は大きくなります。
ポイント
同じヒップ90cmでも、
ショーツが包む形は同じとは限らない。
周囲径は身体の「線」の情報です。 ショーツが覆うのは、お尻の上側から下側まで続く「面」です。
3D人体計測では、周囲径だけで体型を分類しない
衣服のフィットを考える研究でも、「大きさ」と「形」は別の情報として扱われています。
2026年に発表された韓国女性の3D人体スキャン研究では、1,019人のデータから815人を分析し、 胸囲・ウエスト・ヒップの比率だけでなく、 hip depth(ヒップの前後方向の厚み)や back hip depth(後ろ側のヒップの深さ) なども体型分類に使用しています。
研究では、同じサイズ範囲の中にもさまざまな体型があり、 単純な周囲寸法だけでは個人の形状を十分に表せないことが説明されています。
| 見る寸法 | 分かること | それだけでは分からないこと |
|---|---|---|
| ヒップ周囲径 | お尻まわり一周の長さ | 横幅、前後の厚み、後方への突出 |
| ヒップの深さ | 前後方向の厚み | 一周の長さ全体 |
| 3D形状 | 丸み・輪郭・突出の違い | 簡単なサイズ表としての表示 |
2023年の女性胴体形状の研究でも、人体計測値と3D表面データを使って、 衣服のパターンやフィットのために「サイズ」と「形状」を分けて分類しています。
ショーツでは、「サイズが合う」と「形が合う」は別
ヒップ寸法が対応範囲に入っていることは基本ですが、それだけで収まり方のすべては決まりません。
サイズを見る
ヒップや太もも付け根の寸法が、その商品の対応範囲に入っているかを確認します。
どこまで包めるかを見る
お尻の丸みが下まで続く場合、後ろの生地がその下側まで届くか、足口がどこに位置するかも収まりに関係します。
つまり、同じMサイズの範囲に入っていても、お尻の立体形状が違えばショーツの収まり方は変わります。
トラタニは、ヒップだけでなく「太もも付け根」もサイズ基準にする
ショーツの下端が、身体のどこで安定するかを見るためです。
ヒップは丸みが大きく、座る・かがむなどの動作で形も変わります。 一方、ショーツの足口が位置する太もも付け根は、ヒップに比べて形が変わりにくい部分です。
太もも付け根に合う
ショーツの足口を、比較的形が変わりにくい太もも付け根に合わせます。
その上のヒップは、太ももより大きい
ヒップは太もも付け根より周囲が大きいため、足口がその境目を越えて上へ移動しにくくなります。
ヒップ側は伸びで対応する
ショーツ本体の生地には伸縮性があるため、ヒップの立体形状に多少の差があっても生地が伸びて対応します。
トラタニのサイズの考え方
ヒップだけで決めず、
太もも付け根も見る。
トラタニでは、ヒップ寸法と太もも付け根の寸法をサイズ表に入れています。 生地の伸びと、足口が太もも付け根で安定することの両方を考えたサイズ設定です。
一周の長さだけでは、ショーツの収まりは決まらない
ヒップ寸法は重要ですが、身体の立体形状と足口の位置まで見ると、サイズ表だけでは分からない違いが見えてきます。
ヒップ周囲径が同じでも、横幅、前後の厚み、丸みの位置は同じとは限りません。 さらに、動くとお尻の形自体も変わります。
ショーツでは、ヒップ寸法が合っているかに加えて、 お尻の下側まで包めるか、足口が太もも付け根に合っているか を見ることが重要です。
ヒップサイズは合っているのにお尻に食い込む理由は、ショーツがお尻に食い込む原因で詳しく説明しています。
トラタニのショーツづくり
ヒップの大きさだけでなく、包む形と足口の位置を考える
ヒップサイズの数字だけでは、お尻の丸みや足口が当たる位置までは分かりません。ショーツの収まりを考えるには、お尻の下側までどう包むかも大切です。トラタニは、後ろ身頃をお尻と太ももの境目まで届かせ、足口がその位置にフィットする独自の立体裁断を採用しています。
サイズ選びではヒップだけでなく、太もも付け根の寸法も確認します。ショーツ本体にはほどよい伸縮性があり、足まわりの3タイプから好みに合うはき心地を選べます。

参考にした研究
- Jung G, Kang Y, Kim S. Automatic classification of female body shape using 3D anthropometric scan data. Scientific Reports. 2026;16:22963. DOI: 10.1038/s41598-026-37807-1
- Li P, Mitchell KB. A shape classification scheme for female torso. Applied Ergonomics. 2023;106:103904. DOI: 10.1016/j.apergo.2022.103904
- Gill S, Parker CJ. Scan posture definition and hip girth measurement: the impact on clothing design and body scanning. Ergonomics. 2017;60(8):1123–1136. DOI: 10.1080/00140139.2016.1251621
3D人体計測研究は、周囲径だけではなく、深さや輪郭など複数の情報が衣服のフィット検討に使われることを確認するために参照しています。 「ヒップ+太もも付け根」というサイズ基準の説明は、トラタニの商品設計・サイズ設定の考え方です。