生地の伸びとショーツの位置
生地が伸びても、
ショーツがずり上がるのはなぜ?
生地がよく伸びても、ショーツ自体の位置が上へ動けば、ずり上がりは起こります。
生地の伸びは、座る・立つ・かがむときのお尻の形の変化を吸収するために役立ちます。 ただし、足口の位置が安定していなければ、生地が伸びるだけではショーツの位置を保てません。
このページで分かること
- よく伸びる生地でも、ショーツ全体の位置が動けば、ずり上がりは起こります。
- お尻が動いたとき、生地が伸びることで形の変化を吸収できます。
- 足口の位置が安定していないと、生地の伸びだけではショーツの位置を保てません。
- 生地の伸びは、「ショーツを止める」ためではなく、「お尻の形の変化についていく」ために働きます。
- トラタニでは、足口をお尻と太ももの境目付近で安定させ、その上の生地が伸びるように考えています。
お尻が動くと、生地には伸びが必要になる
座る・しゃがむ・かがむと、お尻の表面は立っているときと同じ形ではありません。
動作中は、ヒップ周囲やお尻下部の形が変わり、身体表面の距離も変化します。 そのため、身体に密着するショーツには、ある程度の伸縮性が必要です。
スポーツウェアの研究でも、動作中の皮膚の伸びに合わせて、臀部など大きく変形する場所へ伸縮性の高い素材を配置すると、 衣服圧を抑えやすいことが示されています。
生地が伸びる意味
お尻が大きく動いても、
生地がその形に合わせる。
伸縮性は、身体の変化に生地を合わせるために重要です。
でも、生地が伸びれば、ずり上がらないわけではない
ショーツには「生地が伸びること」と「ショーツ自体の位置が動くこと」の両方が起こります。
身体が動いてお尻の形が変わったとき、すべての変化を生地の伸びだけで吸収できるとは限りません。 足口や後ろ身頃の位置が安定していなければ、ショーツそのものが身体に対して上へ移動することがあります。
パンツやストレッチ性下衣の研究でも、動作中には皮膚と衣服の間に位置ずれが生じることが確認されています。 つまり、生地が伸びることと、衣服の位置がずれないことは別の問題です。
生地が伸びる
ショーツの位置を大きく変えずに、お尻の形の変化を生地が受け止めます。
ショーツが上へ動く
足口や後ろ身頃の位置が上へ移動し、ずり上がりにつながります。
生地がよく伸びても、足口がお尻の途中にあると位置は動きやすい
生地の伸びだけでは、ショーツ全体を同じ位置に保つことはできません。
お尻の丸みの途中に足口があると、お尻が変形したときに、その足口も身体表面の変化の影響を受けます。 生地がよく伸びても、足口が上へ移動できる状態なら、ショーツ全体が上へずれることがあります。
つまり、伸縮性が高いことは大切ですが、 どこを基準にショーツの位置を保つか が決まっていなければ、その伸びを十分に活かせません。
足口が安定すると、その上の生地の伸びを使いやすくなる
トラタニでは、足口と生地に別の役割を持たせています。
位置を安定させる
後ろ身頃をお尻と太ももの境目付近まで伸ばし、足口がお尻の丸みの途中にかかりにくい形にします。
動くと形が変わる
座る・立つ・かがむことで、お尻の丸みや下側の形が変わります。
その変化に合わせて伸びる
足口の位置を大きく動かさず、その上の生地が伸びてお尻の変形に対応します。
トラタニの考え方
足口で位置を保ち、
その上の生地を伸ばす。
生地の伸びはショーツを止めるためではなく、お尻が動いたときの形の変化を吸収するために使います。
伸びが強すぎても、身体についていくとは限らない
伸びる量だけでなく、伸ばすのに必要な力も関係します。
成人女性10人がストレッチ性下衣を着用した研究では、 素材の伸長応力が大きいほど衣服圧が高くなり、皮膚と衣服の位置ずれも大きくなる傾向が確認されました。
つまり、「強く戻る生地ほど身体についていく」と単純には言えません。 身体の変形に対して無理なく伸びることと、ショーツの位置を安定させることを分けて考える必要があります。
ずれにくさは、生地の伸びだけでは決まらない
生地・足口・サイズ・後ろ身頃の形を一緒に考える必要があります。
生地に必要なこと
お尻が動いて形を変えたとき、その変化に合わせて無理なく伸びること。
ショーツの形に必要なこと
生地が伸びる間も、足口や後ろ身頃の位置が上へ移動しにくいこと。
よく伸びる生地は、動きやすさやはき心地に重要です。 ただし、伸縮性だけでずり上がりを防ぐことはできません。 生地が伸びる場所と、ショーツの位置を保つ場所を分けて考えること が重要です。
トラタニのショーツづくり
生地の伸びと、ずり上がりにくい形
生地がよく伸びることと、ショーツが上へずれないことは別です。動いたときに生地が無理なく伸びることに加え、後ろ身頃と足口が元の位置に収まりやすい形も大切です。トラタニでは、お尻と太ももの境目まで包む立体裁断を基本に、ほどよく伸びる生地と組み合わせています。
食い込みやずり上がりを抑えながら、ウエストや足まわりの締め付け感にも配慮した、快適なはき心地を目指しています。

関連する研究
参考にした研究
- 成人女性10名を対象にしたストレッチ性下衣の衣服圧・皮膚と衣服のずれに関する研究。 繊維製品消費科学 58巻10号, 2017.
- ボディスーツ着用時の身体変形に対する布の伸びと衣服の移動を分析した研究。 日本家政学会誌 37巻2号, 1986.
- 走動作時の皮膚伸びに合わせて素材配置を変えたスポーツウェア設計研究。 日本機械学会スポーツ工学シンポジウム, 2008.